伊達軍居候編 11話



寝る前には氏政と二人きりで話をした。
お主らが通った大きな門は北条が誇る栄光門というのじゃ、と自慢げに言う。

「しかしのう、本当に、心から誇りに思うのは、美しく咲く桜なのじゃ……。」
「桜……。」
「春になれば見事なものなのじゃ。ほっほっほ。他言するでないぞ?膨大な人と金を投資した門より桜が北条軍の自慢だなどと、我が家臣にも怒られてしまうのう。伊達の小倅など、鼻で笑いそうじゃ。」
「そんなことないよ。政宗さんは、そういう風流なものは好きだと思うな。」
「そうかのう……。あんな鬼のように眼光鋭い男が……。」

桜の木の下で佇んでいた氏政の霊が何を考えていたのか、少し分かった気がした。
氏政が用意してくれたお茶を一口飲む。

「あ、そうそう爺さんの痔の話なんだけど。」

同じくお茶を口にした氏政はぶっと吐いた。

「またその話を……‼」
「え?だめだった?」
「馬鹿にせんならいい……。」
「馬鹿になんてしないよ、こっちは心配してあげてるのに。あのね、爺さん、痔が痛いなら、こういう座布団を特注すると良いよ。」
は宙にドーナツ型を描く。

「なんじゃ?どういうものじゃ?」
「うーんとね……。」

荷物からルーズリーフを取り出し、今度は円座を立体的に、具体的に座ってる人間の絵も描いた。

「こんなふうに、お尻当たらないように。」
「ほう!!なるほど!!」
「馬乗る時も、こんな感じに座るとこ作れば、普通のよりはいいんじゃないの?」
「は、恥ずかしいことでも、打ち明けてみるものじゃのう~~~。未来のワシ……感謝するぞい……。」

目をキラキラさせて嬉しそうにする氏政を見て、も嬉しくなる。

「未来のワシを知っているからか、お主は話しやすいのう。お主のように老体に優しい者がたくさんおれば良いのにのう。」
「優しくないのは、爺さんを武人と見てるからだよ。誇らしいじゃないの。」
「……まあ、そう言われればそうかのう……。」

髭を撫でて、視線を上に向ける。

「……ありがとうね。爺さん……。」
「む?なんじゃ、突然。」
「こんなに権力使って、文字通り虎の威をかる狐になって押しかけてきた自分を、受け入れてくれて……。」
「何を申すか。言ったであろう。感謝しておるのはワシじゃ。お主のおかげで、わしのすべきことが定まった。」
「そうなの……。」
「北条の名に固執して、大きすぎる間違いをするところを救ってくれたのじゃ。」
「どういうこと…?」
「まあ、気にすることはない。わしはやるときはやるぞい。」
「そっか……。」

お互い弱い身だが、精一杯生きようねと握手をした。
握手といっても、氏政に手を差し出してもなんだか分からないようで首を傾げていたが、無理やり氏政の手を握った。
そして用意してくれた部屋に戻る。

明日になれば奥州に戻る。
戻ったらその後は……





お館さむぁぁぁ!!
幸村あああぁぁぁ!!

「……朝はちゅんちゅんすずめの声で起きたいもんだ……。」

信玄と幸村の声に起こされてゆっくりと上体を起こした。
着替えを済ませてから隣の部屋に向かうと、準備を整えていた小十郎が顔を上げた。

「おはよう、
「小十郎さん、おはよう。政宗さんは?」
「……調理場に。」
「……へぇ。」

ぅおやかたさまぁぁぁぁ!!
ゆぅきむらああぁぁぁぁ!!
ジイサンこの食材どこで仕入れた!?


ぅおおおおおやかたさむわぁぁぁ!!
ゅゆぅきむらぁぁぁぁぁぁぁ!!
朝餉の支度させろぉぉぉ!!



「……うるさいね。」
「……そうだな。」
「俺様も避難してきた。」
「……。(こくこく)」

4人揃って、心地よい朝日が差し込む早朝から、深いため息をついた。








朝食を済ませ(やたら豪華だった)、再び旅支度を進める。
また政宗の馬に乗せてもらい城を出ようとすると、栄光門を背にして氏政が立っていた。
一歩後ろには小太郎が佇む。
政宗は馬を止めずにその前を通る。

!そなたは必ず戻れるぞ!それまで生きるんじゃぞ!」
「もちろんだよ!!」
「未来のワシによろしくな!」
「過去の爺さんも頑張れよな!」

政宗に当たらないように気を付けながら、思い切り手を振り上げた。

正直に言えば生きてほしい。
死なないでほしい。
でもこの時代は戦国時代で

「……う。」
。」
「は、はい。」

涙ぐんでしまい、頬を伝う前に必死に指で拭く。

「爺さんは覚悟がある。」
「う、うん。」
「お前も覚悟決めな。ゆっくりでいいからよ。」
「うん。」

腰に回しての体を支えていた政宗の腕に力が込められた。
見上げても政宗はまっすぐ前を無表情で見据えているだけであったが、政宗の優しさを感じるには十分だった。


しばらく馬を走らせていると、分かれ道に差し掛かる。
そこで止まり、信玄が政宗に声を掛ける。

「わしらもここでお別れだな!」
「あぁ、良い経験させてもらったぜ。毎朝うるさくてかなわねぇ……。」

と小十郎は目を合わせ、二人でげんなりした。
政宗も人のことを言えない所がある。

殿……。」
幸村さんが馬から降りて小走りで近づいてきた。

「また共に茶屋に行けるでござるか?」
「行けるよ!ねぇ、政宗さん!」
「……俺に聞くなよ。」

それを佐助さんはいつもの笑った顔で見ていた。

「真田幸村……。次会ったときは殺り合おうぜ。」
「うむ、本気でいくでござる!」
「や、やりあう?」
、そんなに深く考えなくていいぞ。」

政宗が手綱を引き、もう出発することを知る。
こんなにあっさり別れるものなのか、と寂しさを感じるが、世話になる身、今ここで政宗に従わない理由はない。
新幹線もないし敵国同士なのだからきっとすぐには会えないだろうに、簡単な挨拶の言葉しか出てこないのがもどかしい。

!!お主の話はなかなかおもしろかったぞ!機会が有ればまた聞かせてくれ!」
「はい、ぜひ!!信玄様、幸村さん、佐助さん!ばいばい!」

ばいばい?と3人が一瞬首を傾げたが、すぐに ばいばい! と返してくれた。
信玄様までばいばいと言うのは……なかなか新鮮だ……。

「byebye、だろ?」
「ばいばい、でいいの!」

政宗のやたらと良い発音に悔しさを感じながら、これから先の事を考える。
向かっているときは怖いと感じていたスピードが、今は爽快感と共に微かに気持ちよさを感じているのは、ただ慣れただけではないと思った。

私は何をすべきなのか

私に何が出来るのか

一つの可能性が消え、必死に頑張るしかないと思ったら、腹を括れた気がする。

「奥州に戻ったらとりあえず出来ること探しだ!!」
「おう、仕事してえならいっぱい押し付けてやるぜ!」
「えっ!!う、うーんお手柔らかに‼」







奥州に戻ったらさっそく戦の準備……と政宗は張り切っていたのだが、流石に疲労がたまりつつあったため、成実に後のことは頼んでひとまず休むことにした。

「俺の体力なめんなよ。」
「そんなこと言わずに……。すぐに戦が始まるんでしょ?今は休みましょうよ。」
「小十郎はどこ行ったよ?」

政宗の部屋で二人で大の字になって寝ころんでいる。

「……畑かな?」
「あぁ、まあそうだろうな……。」

手伝ってこようかなとも思ったが、体がだるくて動きたくない。
初めての馬に長距離移動、慣れない場所に泊まりと、たくさんのことが続いたのだからそれも仕方がないと思い、体力回復に努める。

「政宗さんは、別に休まなくても大丈夫なんです?」
「大丈夫だが?」
「そっか……。」

ここで生きるなら、もっと体力をつけないといけないだろうな、と思う。
政宗には敵わなくても、周りに迷惑をかけない程度にトレーニングしようと考えた。

「……。」

居候させてもらう身なのだから、何かは仕事をしなければ。
そういえば調理場にはまだ行っていないことを思い出した。
兵糧の用意をするのだから、もちろん忙しくなるだろう。

「私、お料理出来ますかね?」
「そんなのてめぇの腕次第で」
「ち、違うよ、いやそれもあるかもですけど。未来と器具の使い方が違うだろうから。何か手伝いたいですけど……。」
「ふうん。まあ、出来なくはないと思うがな。」
「教えてくれる余裕とかあるかな……。」

どんな雰囲気か見てくる、と言って上半身を思い切り起こしたら

「うそんっっ!!!」

政宗の腕が伸び、寝ころんだままの襟を掴んだ。
引っ張られてまた寝ころぶ。
寝ころぶというか頭を打った。
変な声というか言葉出しちゃったじゃんか!!という恥ずかしさでキッと睨む。

「さすがに握り飯は作れるよな?」
「…おにぎり?うん、大丈夫。」
「じゃあそれでいい。明日手伝いしろ。今はここに居ろ。」
「お、おお~。」

奥州筆頭がそう言うなら、お言葉に甘えてここで休ませてもらおうと思う。
もしかして、私が疲れ果てているのを知っていて、気遣ってくれているのかもしれないなと嬉しい方向に考えたので、次の政宗の問いかけに目をぱちくりさせた。

「…………。」
「へこんでるのか?」
「え?」
「んだよ、違ぇのかよ。静かだからよ、帰れなくてshockなのかと思ったじゃねえか。」
「帰れなくてか……。うん、帰れなかったけど……。」

正直、自分の頭の中を言葉にするのが難しかった。
でも、後ろ向きではないということだけは分かる。

「確かにこれからどうすればいいか判んなくなりましたけど、焦ってないです。政宗さんが居場所をくれたし。」

政宗が起きあがる。
の方を向きあぐらをかいて、まだ寝ころんでるを上から覗き込んだ。
特に何も言ってこないので、言葉を続けた。

「政宗さんに甘えてるとかじゃなくて……。いや、少しあるかもだけど、なんかね、きっと未来で爺さんあたふたしながら帰れるよう頑張ってくれてる気がするし。とにかく今は、ここで自分のできることしようと思って。」
「楽観的なのか前向きなのかわかんねえこと言うじゃねえか。まあ俺の好意に甘えたって良いがよ、一つ約束しろ。」
「何?」

も起き上がり、正座をして政宗と向き合う。

「帰るときは、俺にちゃんと挨拶してから帰れ。勝手に消えるな。」
「それは、もちろん。」
「絶対な。」

先の事など分からないが、の希望でもあるから、そう返事をした。
お世話になった人たちに、信玄や幸村、佐助にもお別れを言って戻りたいくらいだ。

「約束、だね。」
「ああ。それと、あれだ、お前は俺がジイサン殺しても良いのか?」
「え?」

意外だった。
俺が戦すると決めたんだから、誰に何と言われようとやるべきことをやると、そんな風に考える人だと思っていた。

「…覚悟決めろとは言ったがなぁ、あとあと泣かれたら厄介だからなぁ。」
「氏政爺さんも戦うこと決めたんでしょ?なら、私には何も言えない…。」

医療職を目指す者として、この発言はいけないことだろうか?

「私、前言撤回はしないかんね。」
「ha?何がだ?」
「言ったじゃん。天下とれよ伊達政宗ぇ!って。」

場所が風呂場だったという事には決して触れないようにしようとしたが、やはり思い出してしまう。
おそらく今顔は思いっきり赤いだろう。

「え、えっと、まだそんなに会ってから時間は経ってないけど、政宗さんは優しい人だって分かったよ。信念持ってる強い人なんだろうなって、部下から慕われてるの見てて思うし。そんなこと聞かれるとは思わなかったもん。私は、口出しするつもりない。」
「……。」
「そういう時代なんだって…この時代があったから私がいた未来があるって思う。諦め…じゃないはず…。政宗さんのこと…」
「俺のこと?」
「信用、してる。そりゃ氏政爺ちゃんが元気に生きてくれたら嬉しいけど、政宗さんは、必要なこと、最善を考えて動いてくれるんじゃないかって思う。その結果は、私、受け入れたいと思う。」

政宗の口元が上がる。
はとっさに身構えてしまった。

けど何をされるでもなく

「OK、coolな奴は好きだぜ……。」

乙女ならば照れるべきなのかもしれない。

でもこれは人間としての好きでしょ?

異性としての好きを言われるより嬉しかった。

「ありがとう。」

素直にお礼を言い、笑顔を向けた。










「昼からね~、夕方までずっとおにぎり握ってね~。も~腕が訳判らなくなってね~。」
「おう……。」
「そんでその後たくあんを切っててね~、だんだん長いままのたくあんが政宗さんの兜の三日月に見えてきてね~」
「失礼だな!たくあんかよ!」
「途中から三日月型のたくあんを大量に作ったよ。」
「そんで腱鞘炎になってりゃ世話ねえな。」
「そ、そこまでいってないよ!ちょっと痛いだけ!……って腱鞘炎て言葉、もう有るの?」
「おまえの本に載ってた。」
「……勉強熱心なことで。ところで」
「なんだ?」
「何で私がまた政宗さんの背を洗っているのでしょう?」

今日は浴衣着てるので、慌てたり焦ったりすることはないが、これが日常になった記憶はない。

「いいじゃねぇか。手が痛いか?」
「大丈夫だけど……。」

そういう事を言いたいわけではない。
恋人でも何でもない男と女が一緒にお風呂場に居るという状況に疑問を抱いてほしかったが無理だった。
政宗の引き締まった体は一度見たからといって見慣れるものではなかった。

(う、後ろからじゃなかったら…直視できないって…。目のやり場に困る…。)

政宗が悪いのであって、決して自分が変態なわけではないと必死に思うしかない。

はというと、浴衣が濡れないように袖は肩まで捲くって、足は太股まで出ているがタオル一枚よりはましだ。
今日はそれ以外にも変化がある。
政宗が眼帯を外している。

「髪も、洗うよ。」
「頼む。」

サラサラした髪を、後頭部に向かって流す。
これで洗うんだ、と言われ出されたものは、粉だった。
お湯で濡らして、まず頭皮を指の腹で優しく洗う。

「ん~、巧いなお前……。」
「本当?」
「あぁ……気持ちいい……。」

嬉しいと思うが、それ以上に口調がゆっくりなのが気にかかる。
眠そうな声で心配してしまう。
昨夜遅くまで仕事をしていたのだろうか。

「政宗さん。」
「ん?」
「流すから、前にかがんで。」
「もう終わりか?」
「え?うん、終わったよ?」
「もう少しやってくれよ。」
「え?」
政宗の髪から離れようとしたの手を捕まれた。
「いいじゃねぇか……。気持ちいいからもう少し……。」
「ちょ、ちょっと、政宗さん…。」

がたん!がたがたがたっ

「え?」
脱衣場から何かを蹴ったような盛大な音がした。
「あ?誰だ?」

ガラッ

「政宗様‼!!!!に何てことを‼!!!!!」
「小十郎さん?」
珍しく慌てた声で、の方がびっくりしてしまう。
政宗が上半身を回旋させ、手で素早くの目を覆ったため、姿は見えない。
なぜそんな行動に出たのかは想像がついたので大人しくそのままで居た。

「お前が何てことを~だよ。前を隠せ。」
「なっ!?いや、会話から察するに……え?」
「いいから隠せって。お前のはデカすぎてこいつにはちと早い。」
「その情報いらない!!」

耳も覆ってくれよ!!

「おや……?政宗様……。」
「何だ?」

小十郎はふと気が付き、政宗を凝視した。

「あ、えと……。」
は、眼帯をしていないことに反応したのかなと気づいたので、もちろん政宗も気が付いていると思う。
「……いえ、何でもございません。」
小十郎はその理由に心当たりでもあるように、ふっと微笑んだ後それ以上何も言わなかった。
は、少し聞いてほしかった気がするが、政宗が自分に心を開いてくれたということなのかな、と解釈することで満足しようと思った。





「この小十郎、勘違いをしておりました…。」
「気持ちいいだろ?」
「はい。」
今度は小十郎を洗う。
政宗は湯に浸かってのんびりその光景を眺めている。
「あの、いつまた小田原に向かうの?」
どちらへともなく聞いてみた。

「準備が出来たらだ。」
答えてくれたのは政宗だった。
は大人しくしてるんだぞ?」
小十郎はに振り向き、優しい言葉をかけてくれた。
小十郎お父さんと呼びたくなってしまう。

「う、うん、待ってるね。」
二人は戦に出陣することを割り切っているだろうし、から言えることなど限られている。

「怪我、しないでね……。」

その中から心から思う事を選び、真剣に言ったのに

……2人は手で口を押さえて笑いをこらえている。

「……あのう、お二人さん」
「いや、すまない……。」
「平和ボケしてんなぁ……本当に……。」

……平和ボケは悪いことじゃないと思う。

「安心しろ、政宗様の背は俺が守る。」
「小十郎さん頼もしい‼!!」
政宗は何も言わず、微笑んで目を伏せる。
まるで、当然だと言わんばかりの態度に、はドキリとした。

絆だ!
絆だよ!ステキ!
と、心の中で連呼し、戦う二人を見てみたいとも思ってしまった。

「……いいもんだな、こういうのも。」
「?」
「政宗様?」

小十郎も洗い終わり、仕上げにお湯をかけた。
ありがとうと言ってくれた後、小十郎が政宗の所に向かった。
続きが気になったので、も政宗達の近くに座った。

「帰りを待ってる奴が居るってぇのは、悪かねぇ。」
「政宗さん可愛い……。」

おっと、口が滑った。

「何で可愛いなんだよ!!」
「だってなんか、そんな事しんみり言うから。」
「……政宗様。」

小十郎が少し震え出したかと思ったら、政宗に詰め寄った。

「それは嫁をもらうのも良いかもしれない、という意で?」
「ha?」
「貰う気に!?」
「いや別に……。」

嫁の話かあ、と、は聞き手にまわる。
この時代の結婚は、家柄気にしたりするのだろうから、恋愛結婚が良いと考えるは黙っておこうと思った。

「縁組よか、今は天下……。」
「政宗様、そのような事態を想定しておく事も必要かと!」
「小十郎さん、テンション上がってる手…。」
!お前んとこはこういうのどんなだよ!?」
「え?私の時代?大体は好きになった人と結婚してるよ。」
「じゃあ俺もそうする!最先端をいくぜ!」
「政宗様!」

二人の態度から、今始まった話題じゃないのかもしれないな、と感じる。
この話題を政宗は拒み続けてるのだろう。

「……まぁ……政宗様が嫌なら強制はしませんが……。」
「……してたよな。」
「……してましたね。」
小十郎が落ち着いてきたところで風呂場をでる。

「……。」
結婚かぁ……
政宗さんが結婚……

ちらっと、政宗の顔を横眼で見る。


……Mな人じゃないと務まらんね……


「おーい、?」
「むう!?」

何も口に出していないのになぜかほっぺたをつねられた。

ちくしょう!視線で読みとられたか!?